愛すべきsummer(2019年現場振り返り③)

ミュージカル「テニスの王子様」全国大会 青学vs立海 前編

原作:許斐剛 脚本:三井秀樹 演出:上島雪夫、三浦香 制作:テニミュ制作委員会
東京中日の平日でしたがキャン待ち立ち見まで出てるのにまずびっくりした。テニミュの面白さの核がなんなのかいまだにはっきりと言語化できないでいるんですが、今回すごく思ったのは、勝負の結末を知っているはずなのに一瞬どっちが勝つのか忘れてしまえるところ。S3熱かった。それから全国立海公演はやっぱり思い出せ越前の流れが好き。「お前は俺たちの希望の星なんだよ」トリオのパートは毎度うるっとくるよね。桃城くんに選ばれる子はどの代も好感度の高いまっすぐな演技をする子が多いなと思うんですが今回の大久保くんも例にもれず好きでした。
不二くん、前シーズンで同じ試合をした矢田さんに比べると強さが足りない感は否めないですが、vs仁王くんの試合においては逆にそれはそれでいいなと思いました。強く見えない人に負けてしまう感じが、仁王くんのほうがイリュージョンにかけられた感じで私の好みに優しかった。後藤くん、直近で見たのが地下ドルの給料カツアゲするDV彼氏の役だったり怪人化するやばいシスコンの役だったりしたので、仁王くんが普通にめちゃめちゃかっこよくて困った。
初めてプラチナにも目を向けられるD1でしたがジャッカルくんまじでかっこいい。関東のときはブン太くんや赤也が我の強そうタイプなのもあり、ひとりだけ優しすぎて心配になる感じがありましたが(それはそれで魅力だったし顔が常にかっこいいけど)今回すごい普通にかっこよくて。プラチナもゴールデンペアと同じ振りを踊ってるのすごくいいよね。あと柳生比呂士さん、ベンチメンバーにも関わらずその発声の輪郭の美しさがめちゃめちゃ印象に残りました。聞いていて気持ちいい。あれだけ大人数いて大隅くんの声だけは常にまっすぐ耳に届きました。大隅くん、一回噛んだら終わりぐらい緊張感あるストプレでぜひ見たい。
あとなんか埼理人さん、好きだよな……としみじみ思いました。人として好かれる人だよね。そういう人が大人の役割でいることの安心感。数年前の某俳優のバーイベでMCとして参加してたとき、用意されてたジンジャエールがすごい辛かったらしく、主役が客席で乾杯回りしているあいだにステージでひとりすごい顔してた可愛いやつを思い出したりしました。
ということで普通に楽しみはしたんですが、青学も10代目にもなるとキャラから逸脱しないでかつ個性を出すのってすごく難しいよねみたいなことは考えました。10代目の青学がどんなチームかというのはあんまりよくわからなかった。たぶんみんないい子なんだろうなとは思いますが。歌やダンスの技術にしても過去のキャストが多ければ多いほどハードルは上がるばかりで、かといってテニミュが求めるうまさには天井がある気がする。もちろん現青学の子もまだうまくなる余地はいくらでもあるなと思ったし成長物語に飽きることはないんだけど。何かしら印象に残るチームになるためには何が必要なんだろうと考えてしまった。個性ってたぶん一番難しいよね。

光芒のマスカレード~月光仮面異聞

脚本:木村純子 演出:樋口夢祈 制作:スタービートエンターテイメント
出演:鷲尾修斗 伊達達也 秋沢健太朗 成松慶彦 山沖勇輝 原野正章 樋口夢祈 ほか

身内の評価がめちゃめちゃ高いGEKIIKEやっと観にいけました。最近はネルケもマベもあまりオリジナル舞台やってくれないけど、やっぱ客席に座ってこれからどんな物語が始まるのか全然わからないわくわく感はオリジナルこその強みだと思う。色んな楽しみ方を許してくれる舞台だったなと思います。脚本家の地力をめちゃくちゃ感じました。俳優さん目当ての人も物語を楽しめて、俳優さん目当てじゃなくても俳優さんの良さを分かるというか。
DVDで見せてもらったほかのゲキイケ作品に比べるとわりとわかりやすいヒーローものではあったと思うんですが、現実世界のかけらがたくさん散らばっていて、物語層だけの物語じゃなかった。二つの正義があって、耽美な悪役がいて、身よりのない子供がいて、外道な政治家がいて、すごい王道なんですけど、その正義だったり政治家の発言だったりの根っこが世相を反映してるんですよね。お兄ちゃんの演説の台詞、お兄ちゃんがかっこいいのでうっかり納得しかけるけど言ってることバズツイのリプライ欄でよく見るやばいやつだもんね。こういう現実の問題を織り込んだ脚本ってきちんと毎日考えて生きている人にしか書けない。
この俳優さんにこの役というのがみんなすごくしっくりきた。おっきーさんサーカス団で出てきたときそうだこの人ウィランズだったもんね~!って納得感がすごかった。
看板俳優鷲尾さん、セーラームーン並の装飾を施されたタキシード仮面な月光仮面衣装にサーカス衣装に軍服にとたくさんお着替えしててどの衣装もよかった。何着ても映えるから楽しいだろうな。学校でもサーカス団でも月光仮面してるときもわりとずっとひとり大人みたいなポジションにいる気がしたので、新月仮面との共闘熱くてよかった。
伊坂さん。繊細さと男性らしい無骨さ併せ持った人。背が高いし身体の厚みもすごいんだけどどこかまだ子どもな感じが良かった。
とても顔のいいクアッカワラビーと聞いていた原野さんが普通にとんでもなく顔のいい成人男性でびっくりした。目が大きくて丸顔で小柄で、主人公顔ど真ん中なビジュアルの方が諦念も知っている大人の男性であるのがいい。前髪上げるとかっこよくなるタイプ。瞳が真摯で素敵でした。普通にかっこいいから劇中の犬いじりに乗ってくれるくだりのいい人感が5億倍。最期の会話のシーンがすごく良くて……1回目より2回目のほうが見ててしんどかったな。
堀田くん、慈愛いっぱいの笑顔が印象的でした。ああいう戦闘力がないジャーナリストの役ってうざい感じに転じやすい気がするんですけど、それがここまで好感度の高いキャラになるのすごい。いやまあ堀田くん実際戦うシーンあったら絶対強いけどね!階段上るときに見えるふくらはぎがガッチガチで良かった。曲中見てるとびっくりするくらい目を合わせてくださる。顔の似てる認知がいるのかなレベル。すごい。
秋沢くん、どこを取っても天才でした。徹底した立ち姿や動き話し方の女性的な美しさ、そしてなにを振っても笑いに変える頭の回転とノリの良さがすごくて舞台上にいるとわくわくする。東京支部こと客席にお前ら!って煽ってくるの最高でした。お見送りハイタッチでキャラとして接してくれたのも沸いたかっこいい。でも一番良かったのは莞爾さんの最期を見つめる表情の切なさ。美しかった。
莞爾さん、一言発するだけで明らかに只者じゃない貫禄を出してくるのがすごい。これは教祖。小柄だし表情も穏やかなのに不思議とめちゃめちゃ強キャラ。2対1で素手で戦ってるとこが強すぎて意味わかんなかった。応援上演で莞爾さんを応援してしまったのは許してほしいです。
あと当方子供を助ける生身の強いお姉さんという状況に大変弱いため、薫子さんが仮面に立ち向かうところは泣いてました。勇敢なお姉さんだいすき。ちえりちゃんもそうだし女の子みんな小顔でかわいくて手足長くて細くてそのうえ動けてなんかバレエとかできて振付までできて有能すぎる。
それから前回公演ではアンサンブルだった新人部の俳優さんたちが今回役名付きになったのも勝手に嬉しくなりました。優羽夏ちゃん、かわいくてピュアでいい子で幸せにしたいんだけど、おたくなんかが気を揉まなくても絶対に幸せになれるくらいいい子で、おたくは何もしてやれないのに優羽夏ちゃんはたくさんおたくに幸せをくれるからすごい……(訳:視線をひとりじめしてしまった上風船までいただいて爆沸いた)

RUN FOR YOUR LIFE

作:レイ・クーニー 演出:菅原道則 制作:アーティストジャパン
出演:山本一慶 七木奏音 花奈澪 ほか

山本一慶さんに奏音ちゃんに空夢くんにまじで顔好きなキャストしか……なんかルー大柴おるけど?!と告知の時点ですでにだいぶ面白かったランフォーユアワイフ。絶賛別現場中のお友達と「いや行きたいよな?!」となって当日券に駆け込みました。主演の一慶さんもカーテンコールで言っていましたが戯曲がまず相当面白い。古い戯曲なので時代錯誤に感じる部分もあるっちゃあるんですが全体通して満足感が勝ちました。
山本一慶さんの様子のおかしさが存分に生かされてて満足した。山本一慶さん、色白の美形だしどういう自分がかっこいいかもわかってるし瞳は橋〇環奈だけどまじで変な人だもんね。これはポジティブなオレ~↑ネガティブなオレ~↓♪♪とか歌いだしちゃうほうの一慶さん(朱日記アフト)(何年前だよ)。チョロQみたいななんかすげー動きで吹っ飛んでくやつとかシンプルにめちゃくちゃ面白くてこれはたぶん何回見ても笑っちゃうやつ。ほんとこの人新聞食べてるだけでなんでこんなに面白いんだろう。物販で新聞食べてる舞台写真売っててまた笑いました。そんな汎用性の高い紙買っちゃうじゃん。表情のうるささとか動きのやばさとか一慶さんの得意なところが全開で楽しかったし楽しそうでした。スタンリー(ルー大柴)にバックハグで愛を囁くところの表情がすごくて……。殺陣やアクションがあるわけでもないのにカーテンコールでは汗だくの全力っぷりでした。
ルー大柴さん、ゆうてわたしはテレビをほとんど見ないで育ったので「テレビの人だ!」みたいな感じは個人的にそこまでなかったんですけど、登場(すげーアメリカ国旗柄のバスローブ)(こちらロンドンコメディ)だけで笑いが起きてたのでまじですごい。嫌~な感じのおじさんだとも思うけど愛せてしまう感じの按配が絶妙でした。巻き込まれて大慌てしたりあらぬ誤解を受けてショックを受けたりっていうのがこんなに面白いのは大柴さんでこそ。
モリミュでは椅子で暴漢をぶん殴っていた奏音ちゃん、今回は鍵のかかったドアを体当たりで突破しててパワフルでサイコーでした。顔が良くて可愛い。バスローブもサテンのネグリジェも大人の女性って感じでめちゃくちゃ素敵でした。モリミュで買えなかった個ブロも無事手に入れましたくっきりした美人なので暗髪がとにかく似合う。
メアリー役の澪さん、叫ぶというか悲鳴を上げるみたいなところがけっこうあるのにその悲鳴が聞いてて全然不快じゃないのがすごい。状況的にそりゃ叫ぶわみたいに納得するのもあるんだけどまじで叫び声すら綺麗。淡い色の衣装がとても似合っていて可愛らしかった。
バーバラもメアリーも綺麗で上品な大人の女性だけど、根が子供っぽいというかひねくれてない感じがとても好きでした。普通に考えたらジョンスミスはまじで最低な男で女性二人はめちゃくちゃかわいそうな状況なんだけど、あまりそれを感じずにカラッと笑えたのはこの二人がめちゃくちゃパワフルで、そしてどれだけ取り乱しても魅力的な女性であることを失わなかったからだと思います。いや本当にどれだけ取り乱しても下品にならない。ずっとかわいい。すごい。
空夢くん!顔が好き!短髪がこんなにかっこいいのずるいな。空夢くんの顔声雰囲気すべてにぴったりすぎる役で……。ほんと容姿が光属性。刑事さんコンビ、尽くやばい方向に物語を展開させちゃうんだけど、二人とも真逆の方向にめちゃくちゃいい人でしかないのが面白い。生真面目で素直で貫目があってこれは出世頭!って雰囲気の人が誤解に誤解を重ねてるのがめちゃくちゃ面白くて。思えば空夢くんを観るのってテニスぶりなんですがこの作品で出会えてよかった。
鮎川さんが登場したとたんすごい舞台狭く見えて面白かった。三越劇場は客席に傾斜がほぼなくて、前列に男性が座られた私は常に舞台のど真ん中に樹齢500年くらいのサボテンが生えてるような視界でしたが、鮎川太陽さんだけはサボテンの後ろに立ってもお顔が見えました。傾斜の緩い劇場に優しい。地に足付いた安定感あるオネエ(ゲイ?)ですごく好きでした。オネエ感を笑いにしようと過剰に演じたりしないのすごく良かった。戯曲が古いので年配の人しか笑ってないようなジェンダー観が古い部分もけっこうあったんですが、彼だけは常にめちゃくちゃ21世紀だったな。気さくだし面白いし大人だしですごいちゃんとしたキャラクターだった。他の皆さんが混乱のあまり正気を失っていくなか彼だけは素面でいい感じに舞台を締めてました。いやほんとこれ下手な俳優には難しい役。そんなしっかりした人物像とは裏腹に全身に赤いペンキつけて出てくるだけですごい面白いのずるかった。でかい。

MANKAI STAGE A3!~SUMMER2019~

脚本:亀田真二郎 演出:松崎史也 制作:ネルケプランニング
とにかく天才の本田礼生さんとどんどん素敵になる野口準くんに毎公演泣かされた夏でした。本田さん、圧倒的にスキルメンで何でもできる人だけどそのうえでずっと情動で動いてる。「円、遊ぼう」の曲、特に転調してから(円の手を取ってから)がもう圧巻で。その全身指先まで彼の情動の意のまま、美しかった。椋と十座がふたりで斑鳩家に行ったあとのシーンが毎回大好きでした。いつも妖精みたいににこにこふわふわしてる三角が負担になるまいと笑顔を取り繕うのがけなげでいたいけで……。そんな本田さんの演技に真正面から応える野口くんもすごかった。椋の「大丈夫じゃないです!」で涙出ないことなかったな。あと彼笑顔がめちゃめちゃこぎ〇ゅんに似とる。すげーかわいい。からの劇中劇ばちばちかっこよくて困った。野口くんはかわいいもかっこいいもまったくわざとらしくないのがいい。劇中劇ラストのおじいちゃんに向けた台詞が声も表情の変化も良すぎた。
二幕、漣の音とねずみさんの朗読から始まり、河合さんの朗読の声の深さも夕陽色の照明も紙飛行機が描く情景も、そしてラストの花火もとにかくぜんぶノスタルジックで美しかったな。
前後しましたが一幕も瑞々しくてかわいくてよかった。アイデアが浮かばない、助けてと言えないって物語としては単純だけど、それがあんなに切々とした話になったのはただただ宮崎くんの頑張りだと思う。見てて苦しいけど愛しい。そして気持ちだけでなくかたちで相手の助けになれる三好くんすごくいい。幸の苦悩をキャッチーな100かわいい曲でやったの天才すぎた。あとあの曲の天馬くんを見て生まれて初めて陳内さんにかわいいという感情が芽生えた。あれはかわいい。
組曲一五一会に続いて夏組曲のテンションATTENTIONも良かった。好きな歌詞を書き出すと長々引用しちゃうので書かないけど特にAメロの歌詞すごく好きでした。ここで幸と三好、椋と三角がそれぞれ主演の劇中劇の役を模した振りをしてるのがすごく良い、かわいい。「素敵だなあ」の椋の表情が幸せに満ちてていちばん好きだった。ここからラストの盛り上がりいまでもすごく印象的。夏だったなあ。ブルスマの春だと至さんパートだった「続くよ」が夏だと椋になってて、その声の伸びの気持ちよさと、椋くんを注目させる夏のお兄さんたちがすごくよかった。あとここ十座くん面白いくらい誇らしげな顔してて好きでした。
そして咲也くん。夏組公演なので咲也くんの出番という面ではあまり期待していなかったんですが、見たい演技をしっかり見ることができて大感謝でした。晴翔くんに真正面から貶される咲也くん、こういうの実はすごく見たかった。佐久間咲也という男はこういう顔をして人の悪意を受け止めるのかっていう。靭さと、真っ正面から受け止めるしかできない弱さ。「オレはまだまだへたくそで」春夏でもあった台詞だけど、一年越しに聞くと響きが違って感じる。
関係ないけど伊崎くんと横田くんがしゃべってると令和のたぐいまれなるデカ目が二人揃った感がすごくて「この二人だけでおたく100人分の目のサイズある」「しじみ200個ぶんの力」って会話をした。
あと悪い先輩猫の横田くん、白肌に黒衣装がばちばちに映えてよかった。さすがねこちゃんの動きが板についてる。そして水兵役、黒髪ひっつめセーラー服がもう美少年ドストライク大正義すぎて。いや~エフェボスっていうのはああいうんだろう……。