最底辺でもがいてて(2021現場まとめ③)

MANKAI STAGE A3!Troupe Live SPRING2021

@立川ガーデンステージ
※全編きつめポエム※
夢はいつか叶え終わる、みたいな感覚がわりとあるおたくだったけど、春組の夢に終わりはないんだと思える瞬間がたくさんあってずっと嬉しかった。前川くんが「春組の集大成」というようなことを言っていたけど、本当にすべてが宝物みたいな時間だった。春組のみんなのことが好きなんですよね。あまり共演者というものに興味がないがちなわたしからしたらわりと珍しいことかもしれない。だって千秋楽のあと古谷さんが春組に宛てたブログ、あれを読んで好きにならないはずがない。キャストのみんなが春組を好きで、それをきちんと発信してくれるからわたしも春組が好きだった。
そういう意味で一番横田くんとの関係性が謎に見えたのは牧島くんだったから、フィルコレで卒業の話になって号泣するよこたくんにはけっこうびっくりしたな。牧島くんのエーステ出演が発表されたあとのドリライ2018の千秋楽をたまたま見に行ったんですけど、ぼろぼろ泣いている牧島くんを見て、春組は9代目青学と同じくらい彼にとって大切なものになれるのかなって思ってたんですよね。どれくらいとか同じくらいかとかはよくわかんないし計る意味もないけど、でも本当に当時想像してたよりずっとずっと大切なものになったんだと思えてよかった。
トルライ前に開催されたフィルコレ、謎イベントだと思ってたけどなんだかんだすごく良かったんだよね。春組といるときのよこたくんって絶対かわいいし面白い。よこたくんってわりとみんなと話す機会ではちゃんとしなきゃみたいな感じがある人だと思うけど、春組といると子どもみたいにいるのがかわいいと思う。まあ春組のみなさんそういうところはあるし。鬼ごっこしよ~!のくだりまじで好きだったな。
咲也のソロ曲、本当に嬉しかった。上手の2階から出てきて手すりに手をおいて客席を見まわす、春夏公演最初の演出をずっと大切に使ってくれることが本当に嬉しい。よこたくんのおたくの個人的な感情としては、こういうライブでソロ曲を歌うこと、会場中がよこたくんの演じる人の色のペンライトで染まること、本当にずっと夢だったから叶ってうれしかった。おたくの夢が叶う瞬間ってこんなにはっきりと目の前に訪れるものなんだって。いやなんか本当にここまでで、某コンテンツのことを嫌いになったり客席で悔しくて泣いたりしたけど、それでも初めて叶ったのがこの空間で良かったのかもしれないと思った。 「何度でも夢を見るよ、何度でも夢をかなえるよ」エーステというものがこれまで叶えてくれた夢のことを思い出させてくれるすごい歌詞だった。春夏公演の千秋楽で「オレのことはいいからみんなのことを愛してください。」と言っていたこと。そういうところがいとおしいけどやっぱり寂しくて、そうしたらそのあとの春組単独の新曲の歌詞で「自分を好きになろう」って歌ってくれたこと。フォーライでリーダーズに囲まれながら泣いていたところ。そういうおたくが勝手に救われたと感じる場面をたくさんくれるところが嬉しい。
まあだから、春単も楽しみですね。高橋くんも、あんなに横田くんに対してかわいい後輩でいる人あんまりいないからめちゃめちゃかわいいなと思ってます。
 

VOYZBOY LIVE 2021 SPARK

舞浜アンフィシアター
ぼいずのライブを初めて見た人間の感想文です。振り返りが遅すぎてあれなんだけど11月の一斉卒業は知らんていで書いてます。(なんか感想ちんたらしすぎてさらに追加で10人卒業してました。)
石橋くんはいなかったけど浴衣のトレーディンググッズがまじでどうにもならなくて現地行けばなんとかなるような気がしたので行きました。(アクスタの交換が本当に一生見つからなかったんだけど開演直前に結城くんのファンさんが交換してくれて本当に助かりました。)あととにかく顔面国宝こと高橋奎仁さんがステージに立つ姿を観ておきたくて……。高橋奎仁さん、本当に美しかった……。38人いてもぱっと目に飛び込んでくるくらいだった。ビジュアルに関していえば精悍とかかっこいい成人男性とかの要素に全振りしてるタイプだと思ってたけど、髪長めのハーフアップは不思議と中性的な色気があってすごく良いです。上を向いたときの輪郭のラインが美しすぎた。感情がよく分からない表情をずっとしてた印象があるけど、なんかの曲中に力也くんと目があってめちゃ笑っちゃってたのがすごくかわいくて良かったです。あと僕等の世界でよりによってたいへん体格のいい新美くんとコンビだったことでめちゃめちゃ華奢見えしててやたらかわいかった……。振りで抱き寄せられてもわりと直立不動だったのやや面白かった。高橋くん、顔面大勝利してるわりに何考えてるのかよくわかんなくて何しても意外性があるから面白い人だなって思います。そして生でステージに立つ姿を見るのはこれが最後になった。ずっとこんなに美しいのに。
新規並感でVOYZBOYのいいところ、40人いてわりとちゃんとみんな顔がかっこいいところ。顔の良さなんて確かに好みではあるけど、こうして全員見ると鼻と口元の造形が気になる人が少ないのはとてもすごいことだと思う。(というか後ろにいるフツメンは視界に入らないので)世間では薄い顔流行っとるなって感じだけど、VOYZは目力のあるくっきりはっきりした強めのお顔立ちの人がわりといるのありがたいです。五十嵐くん、タンクトップの下の胸筋えぐぐてでもお顔の造形めちゃめちゃ繊細で美しくて、この容姿が推されないのなんなん?VOYZは責任持って歌のレッスンさせてほしいしちゃんとオーディションとか受けさせてほしい。
そもそもライブだし、だいたい全員顔がきれいでだいたいどんな話もある程度うまいことまとめられる福井巴也さんがいるという時点で、たぶん何しても本当につまらないということはないんだろうな。舞台ってどれだけキャストが良くても脚本演出に才能がないと苦痛の時間になるけど、アイドルのステージってそうじゃない。普通に歌って踊ってる人を見てて本当に虚無ることはたぶんそんなない。会場がそこまで大きくないのと、わたしがぜんぜんお客さん気分で見てるのもあるとは思いますが。某演出家や某劇団は演劇やめてアイドルやればいいのでは(?)曲は僕等の世界がめちゃめちゃ好きでした。こういう欅っぽい感じのエモい曲はもう出さないのかな。
あとは個人個人の褒めになりますが(基本高橋くんを見ていたためきちんと全員見れたわけではないです)、富園くん英くんはステージに立つことが楽しいって伝わってくるような笑顔が印象的でした。村田くんも舞台上からきちんとコミュニケーションを取ろうとしててえらかった。あとこれはWeekly Practiceでも思ったんだけど、鴻池くんは魅せ方をすごく考えてる子だなと思います。オープニングで衣装はだけさせてたのすごいかっこよかった……!表情や指先の表現がすごく好きでした。秋嶋くんはダンスで感情表現ができる人ですよね。踊ってたらあの子だってすぐにわかる。あと新メンバーながらマイクを持つことの多かった桜井くん、知ってたけど本当に歌声がよくて、なんかもう全メンバー彼に合わせて生歌にしてほしかった。お顔もとてもかわいいしあとは見つかるだけの子って感じがする。
ただド新規並感としてもありえないなと思ったのは、ライブの進行を止めるレベルの音響ミスがあったこと、怪我にも繋がりかねない新衣装の不備があったこと、そしてそれについてスタッフブログに「お許しください」と書かれていたところです。シンプルにフォローのしようがない。運営スタッフのプロ意識がそこらの小劇場以下なんだからアンフィも埋まらないでしょうね。しょうみ告知遅いとかURL間違えるとか当落日に当落が出ないとかは許容範囲だとしても、本番がちゃんとできないのは致命的。
あとはもう普通にライブ全編通して一度も声を聞けなかったってメンバーが多すぎて該当のファンの子が泣いてないか心配になった。こういうものなの?2019年のわたしは本編で推しの台詞4個くらいしかなくてバックダンサー推してるんじゃないんだけど!!って客席で泣いてましたが。(歌なんとかの傷が深すぎる人生)なんかさ、こういうもんだってファンが受け入れてるならいいけど、あんまり格差を作ると推しのこと好きな人ほど公式ごと地雷になって病むようになる、私はなったので……。るかやまとなんてランダムグッズが確実に捌ける貴重なメンバーなのになんで今回歌わせてもらえなかったんだろう。
とか言うてたら15人も卒業することになって、まじで大丈夫そうかこのグループ。五十嵐くんのお顔が好きなので11月の特典会でツーショ撮るか迷って結局牡蠣食べに行ったんですけど、なんかそのまま今世は他人で終わった感じになった。彼はこのままボディビルダー(?)の道を進むのでしょうか。
わたしは舞台のおたくだから、ぼいずの子見て2.5出たら売れそうとか〇〇役やってほしいとか思っちゃうけど、彼らも別に舞台俳優をやりたいわけではないんだろうな。刀ミュのみなさんが令和にもなって高齢の演出家に怒鳴られてることを思うとやりたくない気持ちは普通に分かります。美しい顔の男の子が美しさを生かして理不尽な苦労をせず稼げる職業って結局配信者とかインフルエンサーとかになってくるんですかね……。


ミュージカル「刀剣乱舞」~静かの海のパライソ2021~

@TDCホール他
どう書き出せばいいのか分からないのでとりあえず有沢優兎くんの話します。高校1年生をしながらロングラン公演を完走した有沢くん、日向くん出てないときはずっと見ていました。歌合があんなんだったのに心が刀ミュからギリギリ離れなかったのは有沢くんが刀ミュに出る!!ってなったからだと思うので彼には本当に感謝しています。(2020公演はスタビのおたくの子と連番するつもりだったけど結局公演中止になった。)冒頭いきなり台詞あってもうおお喜びだった。2部のカーテンコール以外では一貫して武器を持たない役で、 平和な時代も戦中でもずっと村人たち(一揆勢)から大切にされているのが分かって良かった。冒頭の中村くんと遊んでるとこ、本当にかわいかったですね。たまに紙風船落としてああ……ってなってたのもかわいかった。籠城してるときに日向くんからもらった梅干しを分けてもらってうれしそうにしてたの、この世の宝すぎた。パライソの物語を手放して出来がいいとは思えなかったけど、それでもちゃんと怒ったり悲しんだりできたのは一揆勢のひとりに有沢くんがいたことが大きかったと思います。途中幕府軍に襲われかけて浦島くんに助けられるところ、有沢くんの出番は嬉しいけどモブ幕府軍がげすすぎて見るのしんどいレベルだったし(台詞変えてくるの普通にキツかった)、助けてくれる浦島くんが良すぎてうっかり泣きそうなことあった。月光仮面の薫子さんに抱いたのと同じ感情。

自分にとってのパライソを雑にまとめると、脚本にはどうかと思う部分がすごくあるけどそれ以上に日向正宗さんが美しかった。自分の中で脚本の面白さと応援している俳優を見ている喜びって比例するものだと思っていたんだけど、パライソに関しては脚本を微妙だと思う一方で日向くんを見る喜びだけはどんどん大きくなっていった。日向くんについてあれこれ言語化を頑張ってはみたけど、それでも見るたびに言い尽くせない美しさと良さが新しくわきあがってくる感じで、わたしの悟性が足りなかったから何度でも見たかった。パライソは殊更に人の愚かさや残酷さを描いていたと思うし、それは単にこれまでの作品と違う色を付けるためにそうしたのかなとも思ってもいるけど、そういう画と日向正宗さんの瞳はすごく合っていたと思う。
戦争を止めるために戦争をすることが大きなテーマになっていたけど、現実でも創作でも掘り下げている人が多いテーマだけに今回の刀ミュは浅慮と思わざるを得なかった。確かに刀剣男士は役割的に絶対に戦争をしなければならなかった、けどだからといってなで斬りを肯定するような会話をするのは絶対違う。歴史の流れは変えられないとしても、わざわざ信綱と接触してまでかけるべき言葉はもっと観客にとっても妥当なものがあったはず。さんざん言われてると思うけど原爆投下を肯定する人と同じことを言ってる。
人の話を聞かないキャラクターと同じくらい必要な説明をしないキャラクターが苦手なんですが、そういう意味で今回の隊長の方の振る舞いは終始苦手でした。他キャラが話そうとしても何かと話を遮るし。彼に意見できる人が編成にいないのも違和感があった。
わたしが本編でほぼ語られていない日向くんの役割について勝手にあれこれ想像したように、観客それぞれが自分の好きなキャラについて解釈をしただろうし、わたしが分からなかったことはつまり興味がなかったんだと思います。それにしても隊長が背負ってるものがなんなのかどうして背負っているのかは最後まで分からなかった。それって福井くんが背負ってるものより重いもの?(後輩メンバーの人生)(どうでもいいけど刀剣男士やめるかい?のとこ、そういうこと言ってると14人一斉退所するからやめな!?になってた)(あとこれは本気でどうでもいいんだけどどっかの回で「それが嫌なら刀剣男士!!!」まで一息で言った回があって「恋をするなら坂〇昌行(さん)」と語感が同じだな……になった)
あとそれぞれのキャラクターの歴史への理解度がよくわからないのも地味にストレスでした。そもそも刀剣男士は基本的に歴史の流れはだいたいわかってる生き物だって認識だったから、中学の歴史の教科書レベルの知識もなさそうな浦島くんに普通にびびった。あと日向くんも、元主の中には島原にいた人もいたはずなのにこんなに島原のこと知らないのは違和感ありました。(水野勝成が島原に行く前に紀州徳川家にいたってことなんだろうなとは思うけどそれにしても……。)聡明な印象のキャラクターだからこそ違和感がすごかった。日向正宗さんは歴史の流れをすべて分かっていたのか、それともそのピュアさゆえに翻弄されているばかりだったのか、おたくにもよく分からなかったし感想眺めてても解釈は割れてた。興味がなければ断定するのは簡単だし。
脚本や日向くん以外の人たちの釈然としない部分について、自分なりに整合性を取らせる余地は充分にあったと思うけど、わたしは日向くん以外興味ないんだなってことが身にしみてわかった。薄情なおたくだなとも思ったけど、千秋楽の特別演出を見て私が刀ミュの他のキャラクターを好きだと思うことは私自身が許せないんだったなって思い出しました。
季節が変わるほどパライソ再演を見てきて、他の俳優さんについてそれぞれまあなんか色々と、すごく信頼できる人だなとか?思ったりしたけど、刀ミュで見る限り好きだって思うことだけはずっとできないと思う。だって6人でたくさん悔しい思いをしてなんとかたどり着いた再演の千秋楽、当然他のみんなも出てきて戦うって思ったのに。彼はどうして編成されたんでしょうね?
劇場から多賀城駅までの道で見た冬の夜空がきれいでした。とにかく寒かったのが印象的で、今年の冬はなんだかずっと暖かい気がしてる。


ダムウェイター

@すみだパークシアター倉
回数行ってないのになぜかチケットダブらせたり開演時間勘違いしてたりと本当に自分が最悪でもぎってないチケットを捨てられてない。普通にすごく反省したしそういう部分でもわたしの悟性が終わっていた点でも自分の落ち度で客になれなかったなって感じでした。俳優が精神を削ってとんでもない緊張感で挑んでいた舞台だったし、それだけ見ているほうもいい意味で消耗させる舞台だった。開演前も客席でしゃべってる人がほとんどいないくらいだった。
横田くん自身はこの難しい作品でもきちんと観客を客にできるように配信したり色々してて本当にえらかったと思います。というかそういう感じのことできるんだ……ってなんか初めての発見でした(?)なんかやっぱり横田くんってその美しさはもちろん、演劇というものへのめり込みかたが稀有な俳優さんだなあと思いました。横田くんはとても美しいけど、美しいから俳優をやってるんじゃないんだよな。他の俳優さんのことはあまり分からないけど、これだけ演じるということに無二無三でいられることは才能だなと思います。
でもなんかわたしも悪かったけどすみだパークシアター倉はちょっと遠すぎます。
 
パライソもダムウェイターもなんか作品がどうとか以上に自分のだめさを痛感したのもあり(飛行機乗れなかったの普通に自分にドン引いた)なんだかんだ𝓮𝓷𝓱𝓪𝓷𝓬𝓮𝓶𝓮𝓷𝓽には特典会しかないな!になった11月でした。石橋くん高橋くんがいい子たちゆえにですが。高橋くん、言葉数の多い感じじゃないけどありがとうの伝え方がすごくていねいでお友だちの元推しさんを思い出すなどしました。高橋奎仁さん、こんなにかっこいい造形の人いないってくらい本当にかっこいいんだけど、なぜかいつの間にかめちゃめちゃかわいい!になってしまう人。


ムシラセ『つやつやのやつ』/『ファンファンファンファーレ』

脚本・演出:保坂萌
@オメガ東京
このブログでは配信で見た作品についての感想は書いてないんですが、これはあまりにも刺さったので書きます。お友だちが配信を見せてくれて、そのあとまた見たくなって自分でも買いました。配信期間は1ヶ月くらいあったけどでもまた見たいというか今見たい。もっとちゃんと見ておけばよかった。なんかたまにド病んでおたくなんかしてても一生幸せになれないけどおたくでしか生きられなくて詰んでるってなったときに見たくなる。
若手芸人の突然の訃報がきっかけのふたつの物語で、『つやつやのやつ』は亡くなった芸人と同期のお笑いコンビの再起の物語、『ファンファンファンファーレ』はその出待ちファンの1周忌の日の物語です。おたくというもの、推しというもの、好きということ、すべての夢を与える職業の人たちが夢を追うということ、自分自身に近いテーマだからこそ、その解像度の高さと誠実さに震えた。なんだろうな、夢を追うこと、夢を追う人を応援すること、それを正しいと言う話じゃなくて、「そうでしか生きられない人もいる」って描き方だったのがすごく誠実だったと思う。この世のエンタメってどんな状況でも夢を追いかけることを選ぶべきだって物語が主流なのかなと思うんだけど、そうじゃないのがすごく良かった。なんだろうな、夢を追うこともそれを応援することもただじゃできないし、何と引き換えても夢を追うことが正しいとはおたくも思ってない。芸能の仕事のために大学辞めたとか聞くとわけのわからない罪悪感のようなものを感じるし。(かと言って大学4年の年に髪を黒染めしてるとそれはそれで就活……?って急に怯えだすけど)(改めて書くと本当にキモい)
それでも夢を追うこと、推しに夢を追い続けてほしいと願うことのある種の罪深さ、一方で何か前向きな意味もあること、両方に誠実だったのが良かった。
芸人おたくが主人公だった『ファンファンファンファーレ』がわたしにはとにかく刺さって抜けない。わたしには推しがこの世からいなくなるという経験をしたことはないけど、でも推しが生きていても変わらない部分があって苦しかった。わたしには推しが必要だけど推しはわたし個人を必要としていないということ。推しにおたくがどう見えているのかなんて分かる日はこないこと。推しにとってわたしは「彼女じゃない」し、他人だし関係ない人。おたくはなにが推しのためになるのか、何をしたら喜ぶのか、本当のことは一生分からない。それは推しが生きててもそうでなくても同じ。勝手にグッズと写真を撮ったりするのを気持ち悪いと思われてるだろうなってたまに思うよ。他人が自分に依存してるのはたぶん気持ち悪い。分かってるからこそ、推しを喪ってそれでも好きで好きで会いたくて苦しんでいるちかのことを見て泣くんだと思う。
と同時に、私が推しを喪う日がもし来たとしたら(縁起でもない仮定で申し訳ないですが)、それでも一年その人のことを好きでいつづけることは果たしてできるのかと言われるとできないと思う。たぶん悲しみ尽くしたあと、新しい推しを見つけてしまう。だから苦しみながらも好きだという気持ちをなくせないちかが尊くも見える。「好き」以外に生きる原動力なんてないし、でもこの好きを担保するものなんて何もないから。
おたく仲間だけどキャラは真反対のちかとゆかり、そして芸人を目指すしのと優等生のあさみん、一見ちぐさぐなふたりが友達でいる理由がわかるのがよかった。全キャラクター最初の印象が悪くても最終的には好きになれてしまうんだけど、ゆかりはもう登場から大好きだったな。自分もゆかりみたいな子になりたいってお友だちと言ってた。
「ゆかりにははるくんを喪ったわたしの気持ちなんか分からないよ」に対する「分からないよ、分かりたくない。/はるくんがちかのこと連れてっちゃうんじゃないかって怖かった。/なんでわたしははるくんみたいにちかのこと笑わせられないんだろう。」もうこれ打ちながら泣きそうになるまである……。すごく好きだ。し、このやりとりの少しあとのちかの台詞「いつもゆかりはわたしのこと笑わせてくれるよ」、ここまでの全てのやりとりで、これが間違いなく事実だってわかるから大好きだった。ゆかり、めちゃめちゃいい子だけどめちゃめちゃ変でいいんだよね。
あとは単に台詞がすごくいい。言語センスがある。「大きい声出すなら面白いこと言って」 「カツアゲ!?」使う場面はたぶんないけど日常で使いたい。
「わたしにはできないよ、そんな高尚な仕事」
「私は私の神様にはなれない」
それぞれおたくしてるとよく言われることに対する答えとして自分の中ですごくしっくり来たから好きだった。
あと冒頭の流れも秀逸だった。「はるくんがトレンド入りしてる!/単独前に結婚とか?」「え?結婚とか言われたらショックなんだけど!死ぬんだけど!」スマホを確認して、「死んだ……ねえ、はるくんが、死んじゃったんだけど……。」この、一言目の「死んだ」と二回目の「死んじゃった」で同じ言葉なのに意味が違うのはちょっと鳥肌立つ。
それから何より良かったせりふは、ラストにあさみがしのちゃんに向かって言う「最底辺でもがいてて」。文字だけ見たら不幸を願っているように聞こえるけど、彼女なりの愛の言葉なんですよね。芸人を目指すしのちゃんに、あさみは芸人なんて稼げないし生活も苦しいし諦めろと反対していた、でもしのちゃんに心動かされて最後にはこう言う。つまり最底辺でもがきながら、夢を追ってほしいということ。そしてこの台詞の結びは「『推し』ってこういうことなのかな」ずっとちかやゆかりのことを理解できなかったあさみが、初めての感情に出会った瞬間。愛だし、同時に皮肉でもある。確かにおたくって推しの涙を見たい生き物だ。
この作品、この世のすべてのおたくに見てほしい気持ちがあるので難しいんだろうけど再演とか、せめてもっかい配信とか、あると本当にうれしいナ……。そもそも現地でも見てないやつが何言ってんだなんだけど。
あと「つやつやのやつ」は、口では売れたいと言いながら自分を変える努力もせず売れない苦しい生活を甘んじて続けて若い時間を浪費する芸人の姿がなんか、これリアルなんだよなあって感じで、良かったです。

VOYZBOY年末フリーライブ

@クラブチッタ川崎
石橋くんを初めて見た日から1年弱経ちましたが、実際ステージに立ってアイドルしている石橋くんを見るのはこの日が初めてでした。聞いたことのある曲同じ歌詞でも応援している子が歌っているってだけでこんなに違って聞こえるんだ!って石橋くんが歌うたびに思えて幸せでした。正直VOYZの曲の歌詞がすごく刺さるみたいなことはあまりないんだけど、Sparkの「僕だけの君にしたい」この歌詞を石橋くんの甘い少年みのある透明感ある声で歌うのさすがにメロった。Beautiful Starも、改めて聞くとちゃんとエモい曲なんだなってところが良かったです。なんだかんだVOYZの曲は石橋くんの高音の響きの良さが出てて良い。これまでメンバーと絡む石橋くんも見る機会ってあんまりなかったけどなんかちゃんと仲良しそうでよかったです。というか絡みに行っててえらかった。
このとき発表された2チーム制、まさか1年ちょいで解体になるなんて思ってなかったな……。